経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.049 協電機工株式会社(城戸昌子氏・城戸しの氏)

会社を強くするための改革のカギは価値観の共有と真似 協電機工株式会社(城戸昌子氏・城戸しの氏)

中小零細企業では家族の力は大きい

樋口:
具体的にはどのようなことをなさっているのですか。

城戸昌子:
毎年、感謝祭という取り組みを行っています。社員と会社がご家族やOBに感謝をする会で、保護者様か奥さまそして卒業した元社員やOBにご参加いただいています。楽しんでもらいながらも会社のことをご理解いただくための機会をつくることで、良い関係が築けるようになりました。

樋口:
会社を辞めようかなと悩んだときに家族が会社側の味方になってくれるというのはよく聞く話ですね。

城戸昌子:
大企業ではあまり関係ないでしょうけれど、中小零細ではご家族の力は大きいです。

樋口:
先ほどどんどん新しいことに取り組んでいるというお話を伺いました。経営者として時には大きく舵をとるような判断を下さなければなりませんよね。しかし、一方で、熊本の中で変化を起こすことは、東京とは違う大変さがあるのではないかと推察しますが、いかがでしょうか。

城戸しの:
熊本県民は新しいもの好きな県民性がありますが、外からの変化になかなか順応しないという一面もあります。

城戸昌子:
30年程前でしょうか、熊日新聞社、肥後銀行という熊本を代表する二大企業に関する面白い言葉がありました。この2社は、石橋をたたいて、たたき壊して渡らないというんです。この県民性が熊本の代表格のようにいわれていた時期もございます。

樋口:
そうですか。その中で変化を起こすには大変なエネルギーが必要ですね。

城戸昌子:
何かが変わる、自分が変わっていくということは非常にエネルギーを使いますよね。変わらなければ後退するのは分かっていても、私自身4,5年前は変わることにアレルギー反応がありました。ですから、他の社員は一層だったろうと思います。
しかし、5年程前から環境を変えていきました。弊社では環境整備と呼んでいるのですが、物の整理整頓、清掃にはじまり、人、情報と整備を進めていくと、変化へのアレルギー反応が少なくなっていくんです。
たとえば、大卒採用を始めたことで若い方が増えました。すると、彼らは変化が前提ですから率先して環境整備に順応していくんです。古参株の方々もそれに巻き込まれていきます。
フリーデスクを始めた時もそうでした。朝早く来た人から座ってしまうので、各々の机がなくなってしまい、ぎりぎりの出社ではパソコンを開くスペースも狭くなってしまいます。こういったことは5年前だったら抵抗があっただろうと思いますが、今は対応できる環境が整いつつあるのだと思います。


オフィス様子

樋口:
どのような手順で社員の方々に納得していただいたのですか。

城戸しの:
まず、1人に一つあったワゴンを2人で1つにしました。次に、もともとは3段使えた引き出しを2段に減らしました。このような取り組みを2年前から少しずつ行い、やっと先週、デスクトップからノートパソコンへの入れ替えを機に導入したんです。
やはり、一気にやってしまってもすぐには慣れないので時間をかけました。

樋口:
先程はほかの企業の「まね」だとおっしゃっていましたが、熊本内ではかなり先進的でしょうね。