経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.049 協電機工株式会社(城戸昌子氏・城戸しの氏)

会社を強くするための改革のカギは価値観の共有と真似 協電機工株式会社(城戸昌子氏・城戸しの氏)

“真似”を通じて変化をスピーディーに取り入れる


社内掲示

樋口:
ところで、エレベーターを降りたら写真が張ってあったり、組織図があったり、ウエルカムボードがあったりましたね。

城戸しの:
あれは、ベンチマークしている企業の取り組みを掲示しているのです。当社では県内外あるいは業種業態関係なく、いろいろな企業に見学させていただき、いいものは当社で真似しているんです。

城戸昌子:
私どもの一番の狙いは企業を強くすること、つまり経営が順調で安定していることにあります。そのために、日本中の正当に利益を上げていらっしゃる会社の真似をしているんです。真似することが一番スピーディーですよね。また真似から入っても3年たてば自社の文化になります。もちろん真似をして、駄目だと思ったら変えたり、やめています。スピードを重視して他社様のいいところを取り入れる環境が徐々に整いつつあります。

城戸しの:
今、当社は新しいことをどんどんやり始めています。それは会社を強く残していくための改革です。社員からしたら、今までぬるま湯の中にどっぷり漬かっていたところにいろいろなことをやれと言われるわけですから、もちろん嫌だと感じるだろうし、やり始めるまでというのはすごく時間がかかります。そのときに考え方が合わない集団がたくさんいると進みません。冒頭で申し上げたように価値観重視の採用を始めたのは、このような経験を経て、考え方に共感できて、共有がちゃんとできるような人材の必要性を感じたからです。

樋口:
いろいろなことがまだまだ起きると思いますが、そのマッチングを極めるしかないですよね。これだけ不透明な時代ですから、会社の都合と個人の都合がだんだん離れてきてしまっています。今は会社に一生尽くすことよりも、どうやって自分は生き生き生きていきたいかということを考える時代なんですよね。

城戸昌子:
私が大切だと考えているのは、第一に自分が仕事を通して成長しているということが自覚できるような環境づくりです。次に、ある年齢になりますとみんな家族をつくっていきますので、ご家族が幸せなんだという実感も必要です。それから、協電機工のファンを増やす醍醐味を社員の皆に味わってもらいたいとも思っています。私どもが接していくお客さまに安心・安全なサービスでご満足していただくのはもちろんですが、満足度が高ければ感激していただけますし、それが口コミを呼び、次の受注につながります。そうすればやりがいも生まれますし、自分の成長の糧もなります。やはり、楽しくないと続けられないと思います。楽しくなければ会社じゃない、部活やサークルのノリで構わないと常々社長も私も言い続けています。

樋口:
私も、楽しいという言葉は今の若い子たちに響くように思います。「仕事が楽しい」というのは、一つのキーワードですよね。ただ「楽しい」というと、遊びの楽しさと混同してしまいがちなので、使い方が難しいですが。
楽しさの醍醐味は去年できなかったことができるというところでしょうから、経営者はそれをどれだけ仕掛けていくかが大切になりますよね。

城戸昌子:
そうですね。今世の中が本当にすごいスピードで変わっていきます。ただ、人と人との気持ちだけは変わりません。密なつながりが大切なのは、お客さまについてはもちろんですが、社員についても同じです。社員が気落ちしているとき、お子さんや奥さんに「お父さん、頑張って」と声をかけてもらったり、保護者様から「息子よ頑張れ」と言ってもらえるように、理念や方針をご家族に発信していくようにしています。「もう辞めようごとあんなら、やめるたい(もう辞めようと思っているなら、辞めたらいいよ)」とご家族から言われますと本人は折れてしまいます。「いやいや、こないだおうたとき、社長さんがそぎゃんばいよんならんだったよ(先日社長さんにお会いした時は、そのようにおっしゃってはいなかったよ)」という、その一言が欲しいので、1年に1回はご家族ともお会いするようにしているんです。