経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.039 株式会社八芳園(長谷晴義氏)

お客様へのご提案のため、立場の近い2,30代をマネージャーに 株式会社八芳園(長谷晴義氏)

昭和27年の創業以来、東京白金台の広大な庭園で数多くの結婚式やご宴会、催し物をおこなってきた八芳園。歴史と伝統を守りつつも躍進的な成長を遂げる株式会社八芳園 取締役副社長 長谷 晴義 氏に、採用や育成についてのこだわりを伺いました。


樋口:
御社では新卒採用と中途採用どちらも行われていますね。それぞれに求める要素の違いはあるのでしょうか。

長谷:
中途採用ですと専門的なスキルや即戦力としての活躍です。特に30代以上の方には、強化したい部門の専門性を求めています。一方新卒採用では社会に染まっていない素直さや謙虚さを期待しています。このような点は中途採用者よりも新卒採用者の方が強いのではないか、と考えています。

ちなみに新卒採用はどれくらい続けていらっしゃるのでしょうか。

私の祖父の時代、創業当時からおこなっておりますので22歳で入社して38年間、ないしは40年弱働いている役員の中にも新卒の方もいます。

御社の伝統的な価値観が脈々と受け継がれているのでしょうね。御社が求めるのはどのような人材なのでしょうか。素直さや謙虚さというお話がありましたが、その他にはどのようなことを重視されていますか。

一つは表現力、感受性の豊かさです。当社はお客様と直接接する仕事ですので、良い意味で表情が豊かで「人を楽しませたい」という献身的な気持ちが必要です。それを見るためには、仲間や家族など集団の中で、どのような役割や存在であったか、何をおこなってきたかを聞くようにしています。
二つ目は忍耐力や精神力の強さです。それを見抜くために部活動や習い事といったものをどのくらい継続しておこなってきたかに着目しています。たとえば、小学校から大学まで野球を続けた人材がいたとすると、礼儀作法・規律規則など、厳しいルールなどの集団の中で経験してきたと想像できます。その経験によって何かあった時に耐えうる精神力が鍛えられているように思うのです。ただし、同じような人材ばかり採用してしまわないように、少しとんがっている人材も採用し、全体のバランスを調整しています。
また社会人としては当たり前のことですが、「掃除・挨拶・身だしなみ」がしっかりとできるかどうかも大切です。当社は結婚式や宴会という非日常的な空間や時間を提供していますから、その場所のスタッフに元気がなかったり、施設が汚れていたりすると興ざめしてしまいます。お客様から信頼を得ることが何よりも重要なのです。身の回りをきれいにする、心から大きな声を出して挨拶する、靴を綺麗にしているなどが、人の第一印象を左右します。ですから入社前にも、入社後にもこの大切さはしっかりと伝えています。
更に、自分でしっかりと自己実現の夢や目的、目標に対して、目標設定ができるかどうかも見ています。成功者の方々は失敗を恐れず挑戦し失敗を糧に成長し成功しているのだと思っています。ですから一回の失敗で諦めたり、失敗を恐れて何もしなくなったりしてしまうと、自己成長を望まなくなり、負のスパイラルを引き起こしてしまいます。ですからまずは失敗を経験だと捉える。そして、その経験を次の成功、成長につなげるためにはどうするべきなのか、何が足りないのかなどを深く掘り下げて自己分析し、同じ失敗を繰り返さないように考えることが大切です。経営者の方々のお話を伺っていると、このような成長のサイクルを回している方が多く、そのような方は強い信念の持った方だと感じます。


はじまりのストーリー
八芳園 TEAM FOR WEDDING (著)

そういった点は面接でどのように見抜かれているのでしょうか。

このような向上心や協調性など社会人としての基本は、子供からの人間形成が関係していると思います。ですから選考の中で幼少期の話を伺うこともあります。またグループディスカッションや複数回の面接を通じて段階的に学生時代に何を経験しているか、集団の中でどのような役割をしているか、本心で話をしているか、どの程度話の引き出しを持っているか、などを聞いて判断するようにしています。

ちなみに御社を志望される方は、やはりブライダル業界に興味のある人が多いのでしょうか。

そうですね。やはりブライダル業界を志望する方が多く、応募者の7割は女性です。そのため、結果的に女性が多くなりますから、その中で活躍できる男性を探すのは最も気を遣うことの一つです。

最近は女性の方が優秀に見えるという声も聞かれますから、なおさらでしょうね。