経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.036 ラルフローレン株式会社(上保篤信氏)

人が育たなければ、ブランドも会社も育たない ラルフローレン株式会社(上保篤信氏)

樋口:
冒頭でも申し上げましたが、御社のビジネスを考えると経験者採用をされるケースが多いように思います。新卒を採用することで組織が活性化する、というメリットは先ほども伺いましたが、最終的には新卒採用を続けることで、どのような組織を作ることを目標とされているのでしょうか。

上保:
弊社が今掲げているのが“Be back to #1”という目標です。つまり、ラグジュアリーブランドの中でNo.1になる、ということです。そのためには、売上を倍にしなければなりません。売上を倍にするのは、普通のことをコツコツとやっていても達成できるものではありません。そこで、新しい発想が出来る人や、新しい試みにチャレンジできる人材をどんどん採用していく必要があるのです。

逆に、経験が無い人材の方が良いのでしょうね。

一概にはそうだとは言い切れませんが、新卒の場合、他のブランドから転職してくるわけではないので、ラルフローレンブランドに対しての愛着が強くなることは確かです。当社には新卒で入社して20年ぐらい働いている方もいらっしゃるのですが、ブランドに対する愛着が大変強いです。これはラグジュアリーブランドの世界では、ものすごく大事なことです。ですから、ブランドに対する愛着が強く、ロイヤルティーが高く、かつ活性した組織作りのためには、新卒採用が必要なのです。

新卒採用を本格的に始め、これから組織変革を加速される段階ではないかと思うのですが、今後ラルフローレンを社員から見てどのような会社だ、と言われるようにしたいとお考えですか。

まずブランドのポジショニングを変えていきたいと思っています。ラルフローレンは合併する前までは、複数の会社にブランドのライセンスを渡していました。そのため、会社として打ち出したい方向性に合致した商品よりも、「売れる商品」であるポロシャツや、オックスフォードシャツなど、ベーシックな商品を中心に扱っていました。しかし、当社の本筋は、従来扱ってきた層よりもラグジュアリーなラインです。アメリカや、ヨーロッパは元々、ラグジュアリーとしてブランディングをしているので、新しく発売されるのはそのラインの商品です。合併した新生ラルフローレン・ジャパンでは、日本でも同じ商品を売るようになったのですが、日本の売れ筋と少し異なるという状態が起こっていました。そのためグローバルに合わせて日本でのブランドポジショニングを変えていくことに注力出来るように、社内の体制を整えているところです。中期的に、「ブランディングの位置づけが変わってきたな」と思われるようにしたいですね。

今後ブランドの方向性をシフトされていく中で、人材育成についてお考えがあれば教えていただけますでしょうか。

現場では3カ月に1回プロダクトやセールストークについてのトレーニングをおこなっています。これは各店舗のマネージャーが自分のショップで教えているものです。その他に全社でおこなう研修としてはファイブスターというカリキュラムがあり、接客などをトレーニングしています。また今年から取り組み始めたことに英語のトレーニングがあります。本社には約250人の社員がいるのですが、約半数の社員を英語のトレーニングへ参加させています。当社の場合、本社の社員は間違いなく英語を話せた方が良いですから。その他にもシニアマネージメントを対象に、少人数のワークセッションをやっています。

最後に、上保さんご自身が人事のトップとして今後取り組んでいきたいことを差し支えない範囲で伺えますでしょうか。

一番力を入れたいのは、いかに早く、若い後継者を育成していくかということです。
例えば、人事、ファイナンス、マーケティングの各部門において、それぞれ早く後継者を育成するように各部門のマネージャーには言い続けています。選ぶのに悩むくらいに後継者がたくさんいる方が良いに決まっていますから、早くそういう状態にしていきたいですね。

年齢で言うと、何歳ぐらいの方が後継者育成の対象になるのでしょうか。

年齢的には40歳前後ぐらいからですね。また、次世代幹部層だけではなく、それに続く中堅層も若手も全部含めて、人材育成は力を入れていきたいです。ブランドビジネスは、人材がカギです。人が育たなければ、ブランドも育ちませんし、会社も育たないのです。


御社のようなビジネスの場合、人材が売上を大きく左右しますから、人事部の重要性も高いでしょうね。本日はありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました

CompanyData

ラルフローレン株式会社

■会社名:ラルフローレン株式会社
■代表者:代表取締役 檜山 俊夫
■設立:2009年4月
■所在地:〒100-0014 東京都千代田区永田町2-10-1
■URL:http://global.ralphlauren.com/worldofralphlauren/jp
■事業内容 :
 ・RALPH LAUREN日本直営店の運営
 ・ファクトリーストアの運営
 ・百貨店ストアの運営
 ・「RALPH LAUREN」「Rugby」ブランドを中心とした婦人服
 ・紳士服・子供服・雑貨等の販売・卸