経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.036 ラルフローレン株式会社(上保篤信氏)

人が育たなければ、ブランドも会社も育たない ラルフローレン株式会社(上保篤信氏)

樋口:
受け身の人材が既得権に甘えると、そのように停滞した組織になってしまうのでしょうね。

上保:
どこの会社でも、どこの時代でも、そうだと思います。当社でも、前職で初めて人事部に異動した当初と同じ状況を繰り返しているように感じることがあります。あんなにおかしなことをやっている、こんな変な事もやっていると気付くことが多くあります。そのような状態をおかしいと感じるためには“セルフスターター”であることが必要なのです。

上保さんの取り組みは組織にとってはとても大切なことですが、現場の社員からは嫌われる役回りですね(笑)。

そうですね。人事というのはあまり現場の社員には好かれないでしょうからね(笑)。
しかしそうは言っても、人事は言うべき事は言うべき部署だと思います。もちろんその前提として信頼関係を築くこと、コミュニケーションを取ることには気を配っています。当社に来て2年が経ちますが、ラルフローレン・ジャパンの役員や香港、ニューヨークのラルフローレンに対しても、言うべきだと思ったことは言わせてもらえるようになってきたかなと感じています。

お話が戻ってしまうのですが、セルフスターター以外に、学生を採用するにあたって、こだわっていることはありますか。

誤解を恐れずに言えば、明るい方が良いです。学生だけでなく、社会人も同じですが、学生時代に何か一つのことを最後まで成し遂げていたり、社会に出てきちんと仕事をしている人というのは堂々としていますし、面接会場に入って来た時に「光るもの」を感じます。何かをしっかりやっている人には暗さがなく、明るくしている、していられるように思います。

学校や専攻などの情報ではなく、その2点で選ばれている感じでしょうか。

先述の2点というだけではなく、その他の点については最終面接で特に見るようにしています。限られた時間ではありますが、行動探索のインタビューを通じて「何を、どういう風にこれまでやってきたのか」ということを伺っています。今年面接をしていて驚いたのは、英語を話せる方が多かったことです。英語での面接は元々選考プロセスに組み込まれていたわけではないのですが、応募者のほとんどがTOEIC・TOEFLのスコアが高かったり、留学経験がある方でしたので、今年は英語のインタビューも織り交ぜて見ました。皆さんしっかり受け答えをしていましたね。

英語が話せて、かつ明るく、セルフスターターな人材とはかなり優秀な人材が集まっていますね。

12新卒では優秀な人材が採用できています。少し前に、内定者を集めて食事をしたのですが、明るかったですね。こうした人材がどんどん入社してくれると、組織はどんどん良い方向に変わっていくんだろうなと思っています。


そのような優秀な人材が御社を選ぶ決め手は何だと思いますか。

説明会では、「当社は合併して2年の会社なので、今はまだ会社を作っている最中です。ですから、この会社作りに参加してくれる人がすごく欲しい。新生ラルフローレンジャパンを支える新しい力を求めています。」と話しています。おかげさまで、チャレンジ意欲がある人材が揃っています。

説明会でおっしゃっていることと、セルフスターターという要素が合致しているのでしょうね。

そうなんです。ラルフローレンというと、ブランドとしては日本に30年も40年前から進出しており、認知もされていますから、古い会社だというイメージがあると思います。しかし、実はそうではないというのが説明会で初めて分かり、興味がわくのではないかと思っています。

新卒では本社機能を担うビジネス・ゼネラリストと店舗での販売を担うセールス・エキスパートの2つの職種を採用されていると伺っています。採用のポイントは両方の職種に共通しているお話ですか。

そうですね。ただし、ビジネス・ゼネラリストの場合は入社後に英語が必要とされる可能性が高いので、ある程度の英語の素養がある、もしくはアレルギーがない人でないと、難しいと思います。

ビジネス・ゼネラリストの新卒採用は今年からということですが、配属はどのようにされるご予定でしょうか。

まずは現場を知らなければ企画はできませんので、いずれの職種でも販売職からスタートさせる予定です。その後ビジネス・ゼネラリストに関しては、ローテーションをしていく予定です。