樋口：
御社では店舗で働く方がほとんどだと思いますが、やはり店舗での仕事にやりがいを感じていらっしゃる方が多いのでしょうか。

新家：
店舗で働く社員が最も多いですが、その他の選択肢も企業として戦略的に増やしています。たとえば、銀行への派遣はその一例です。規制が緩和され、銀行でも保険を取り扱うようになっているのですが、実際にはノウハウがなく、お客様の相談に乗ることがなかなか難しいのが実態です。そこで当社の社員を銀行の窓口に派遣し、仕組みづくりやノウハウの提供をおこなっているのです。また当社にはフランチャイズの店舗もありますので、フランチャイズのオーナーになるというのも選択肢の一つです。その他には社内の教育に携わるという選択肢もあります。当社では店舗内で人材育成をするだけでなく、当社の良さを社員にどんどん伝えていきたいという想いから、人事部とは別に営業教育部という部署を設けており、この部署で新入社員や伸び悩んでいる社員などに対して教育をする立場になるというステップアップを選択する社員も増えてきています。
キャリアというのは企業側がレールを引いて「ここに乗ってください」と言うようなものではありません。当社には使命感を持ち、行動に移すことができる人材が多くいます。そうした彼らの行動を支援するための仕組みを作ることが会社としての役割だと考えています。

社員が自らキャリアを選択でき、モチベーション高く仕事に取り組める環境がお御社の強みなのでしょうね。ところでお話が少し変わってしまいますが、御社では新卒採用もされていますね。

2010年の4月入社は10名ほどです。現在は本社の各部署で勤務してもらっており、すでに中核的な存在となって頑張っている社員もおります。実は、当社の営業は従来の保険会社とは異なり、新卒には難易度の高い仕事だと思っています。通常の保険会社であれば入社直後から外に出て飛び込み営業をし、見込み客を見つけてきて上司のサポートを得ながら次につなげていくことができます。商品ありきの営業ですので、1年目からできる仕事も多いわけです。しかし当社の場合は、もともと様々なニーズを持ったお客様がいらっしゃいますので、お客様のニーズを中心に話を進めますし、扱う保険の種類も幅広く存在します。ですので、ある程度の経験はどうしても必要になります。現在店舗で活躍しているのは中途採用の社員となっていますが、当社としてもできる限り早い段階で新卒社員が現場に出ることができるようにフォロー体制を整えていきたいと考えています。

店舗で活躍する人材に何か共通点はあるのでしょうか。

入社当初は内心「大丈夫かな？」と心配するような人材であってもお客様との接点を通じて急に伸びてくることもありますので、一言で表すのは難しいです。ただし重要なのは、「感じ取る力」ではないでしょうか。これには｢お客様のニーズを感じ取る力｣、｢保険という商品に込められた想いを感じ取る力｣、また｢自分の足りない部分を感じ取る力｣が含まれます。このように状況を敏感に感じ取り、かつ人の良いところは素直に取り入れていくことができる人材が当社では伸びていきます。またお客様に契約をしていただくには、まずは信頼を得ないといけませんから、第一印象も含めたトータルな人間的魅力も必要です。
他の保険会社での経験が長ければ長い程、実は当社では苦戦しがちです。プッシュセールス中心の保険会社では、採用をする際に前の会社でどれだけ売上を上げていたかを採用要件とする場合が多いようです。しかし当社では、売上げ実績は問いません。もちろん経験があれば保険の知識もありますので、その部分においては「即戦力」と言えるでしょう。しかし、当社の営業方法はプッシュセールスとは全く逆のスタイルですので、過去の成功体験が足を引っ張ってしまうのです。 ちなみに当社で活躍している人材は、保険業界未経験で接客の経験があり、また結婚や育児などの豊富な人生経験をお持ちの女性が多いという特徴もあります。苦労を重ねる中でもそれをプラスに転じる力を持っている方は人間的にも魅力がありますし、相談をしても深みのある回答を返してくれます。また未経験ですとハングリー精神をもって仕事に取り組んでくれますので、結果として成果に結びつきやすいのでしょう。