経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.020 株式会社デジタル・インフォ・プロデュース(岡田泰幸 氏)

株式会社デジタル・インフォ・プロデュース(岡田泰幸 氏)

樋口:
話は変わりますが、今回東京都のワークライフバランス企業認定の取り組みの中で、御社は育児・介護休業制度充実部門において認定を受けていますね。通常企業では女性に対する制度が多い中、男性社員も育児休職されているというのは珍しいように思います。しかし社員の生活を重視することと経営者として社員に求める成果は常にせめぎあいだと思うのですが、どのようにこの二つを両立させていらっしゃるのでしょうか。

岡田
企業活動に限らず、ある組織が成長発展していくということは、その組織に所属する人が増えるということです。人が増えればそれだけ価値観も多様化します。このような組織を動かし、生き残るために利益を生み出していかなくてはならないのが企業です。たとえば、仕事が大好きで生活の100%を占めている人もいるでしょう。一方で、仕事をしながら子供を育てなくてはならない、親の介護をしなくてはならない、また仕事とは別に社会の一員としてボランティア活動に参加することに生きがいを見出している人もいます。このように企業には様々な価値観があり、全員が仕事中心の生活を望んでいるわけではありません。しかし、彼らがみな自分本位で行動してしまっては、組織として成り立たなくなってしまいますので、どちらの考えも受け入れる必要があるのです。保育園の送り迎えがあるために時短勤務になってしまう人材を使いにくいと考えてはいけませんし、逆に一生懸命働いている人材が働きにくくなってしまう制度はもってのほかです。このワークライフバランスの取り組みをはじめた時にも賛成、反対両方の意見が出ましたが、双方の意見を聞きつつバランスをとって理解していくことで、成功させることができました。
たとえば、全ての社員が育児をしたり介護をしたりする可能性はあるわけです。また自分が病気になったり怪我をして、就業ができない可能性もあります。通常こういう事態が起こった時は、有給休暇を取得して給料をもらうわけです。働いていないのに給料をもらえるというのは、突き詰めて考えるとほかの社員が稼いでくれていると解釈することができます。結局ワークライフバランスとは、各々が自分本位を抑え、バランスを重視してチームワークを発揮できるからこそ成り立つものなのです。

全く同感です。ワークライフバランスは周りからの協力があるから成り立つものであり、自分の主張ばかり押し付けてしまうと途端に社内のバランスが崩れてしまうのが難しいところだと思います。そこで質問なのですが、岡田社長が考える御社らしいワークライフバランスの実現とはどういったものなのでしょうか。

指標になるのは、社員が自社をエクセレントカンパニーだと思っている状況であることです。エクセレントカンパニーだと思えるということは、つまりきちんと民間企業のとしての競争力を持ちつつ、社員にとって居心地がよいという状況です。そうするとお客様や社員の数も増え、徐々に売上高や純利益の伸びという形にも現れます。このような状態こそが究極のワークライフバランスが実現できている状態だと考えます。

さて、最後にお伺いしたいのですが、例えばIBMの後輩から独立起業したいと相談されたときに、独立をすすめるタイプと辞めておいた方がいいとアドバイスするタイプがあればその違いを教えてください。

自分単体で物事を完結させるのではなくて、周りにあるものを活用できなければ独立しても成功を治めることは難しいと思います。自分の能力が優れていると、なんでも自分でやってしまいがちですが、それではその人個人の器以上に成長することができません。今の器以上に大きくなれないということは、会社も個人の器以上には成長しないということになります。ですから、一緒に仕事をする人々とうまくチームをつくって物事をやり遂げる能力というのは非常に重要なのです。今まさにクラウドコンピューティングの時代と言われていますが、コンピューターで言えば処理能力、CPUがどんなにあったとしても、周りのデバイス、ストレージをうまく活用出来なければ、もともとあるスペックに対して宝の持ち腐れ状態になってしまいますよね。

そういう意味では、やはり企業内で出世していく人たちも起業家も今の時代に求められるものがあまり変わらなくなってきており、どれだけ自責で物事を捉えられるかが非常に重要ですよね。同じ経営者として興味深くお話を伺わせていただきました。本日は貴重なお時間を頂きありがとうございました。

 

CompanyData

株式会社デジタル・インフォ・プロデュース

■会社名:株式会社デジタル・インフォ・プロデュース
■代表者:代表取締役社長 岡田 泰幸
■設 立:1997年 3月[創業1997年 4月]
■所在地:東京都港区港南2丁目4番地8号 大島ビル8F
■URL: http://www.dip.ne.jp/
■事業内容 :
 システム事業(システム構築、技術支援サービス、コンサルティング)
 コンピューター及び関連機器の販売