経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.020 株式会社デジタル・インフォ・プロデュース(岡田泰幸 氏)

株式会社デジタル・インフォ・プロデュース(岡田泰幸 氏)

2010年度東京ワークライフバランス企業として育児・介護休業制度充実部門に認定された株式会社デジタル・インフォ・プロデュース。今回は代表取締役社長である岡田泰幸氏に、スローガンの浸透やワークライフバランスへの取り組みについてお話を伺いました。

樋口:
ホームページで「自責前進」という言葉を拝見し、非常に深みを感じました。この言葉を掲げた想いを教えていただけますでしょうか。

岡田
「自責前進」とは当社がエクセレントカンパニーを目指す上でのスローガンとして掲げているものです。私が考えるエクセレントカンパニーとは、特定の人に偏ることなく社員、顧客、株主の全てがバランスよく満足している状態だと考えています。ただし、難しいのは「良い会社」の定義は人それぞれ異なるということです。社員一人一人を見ても様々な人材がいますので、給与の条件や仕事の内容、職場の雰囲気等も一様ではありません。このような中でバランスのとれた良い会社とは何か、そのために何が必要なのかを考えていく過程で、出てきた要素をまとめて表現したのが、この「自責前進」という言葉です。

「自責前進」ができる人材とは具体的にどのような人材なのでしょうか。

まず、自分で考えて行動できる人材です。大手企業では一般的にはすでにしっかりとした仕組みがありますので、求められる能力はどちらかといえばその仕組みを機能的に動かす能力が求められると思います。一方で中小企業やベンチャーは仕組みよりも、社員個々の行動にゆだねられている部分が多くあります。その際に重要なのは、自分のミッションや仕事に対して責任を持つことです。企業の経営者がそうであるように、自由に行動できる権限を持つということは、それに伴う責任も持たなくてはならないということなのです。また、まず前進するという意識を持てることも重要です。物事を考えるのにいちいち立ち止まっていては、歩みが遅くなってしまいますから。

やはり採用でもそのような人材を選んでいらっしゃるのですか。

その通りです。景気の良い時期には、体力のある大手企業は教育研修制度の充実などをアピールすることで学生を惹きつけていました。また学生側もそれを見て給料をもらいながら学校へ行く感覚で企業を探すような感じだったのでしょう。しかし現在はこのような景気状況ですから、企業としては新卒社員であっても組織の一員になった時点で仕事があることの大切さを理解し、会社の業績に対して自分は何ができるのかという観点から自ら考え、行動することが求められています。しかし実際には、このような企業側の考えとは裏腹にこのような価値観を持っている学生は減ってきているように感じています。このような人材はどこの企業にいっても評価されますから、結果的に企業間で奪い合いになってしまいますよね。

おっしゃるように今は自責で考えて行動できる人材が少なく、奪い合いの状況です。ちなみに面接では「この人は自責で行動できる人材だ」というのはどのような点でお感じになられますか。

「自責で考える」ということは、急にできるようになるものではありません。ですから、過去の話から見極めることができると考えています。学生であれば、ゼミ、サークル活動、部活、社会貢献やボランティア等を含めて、自分がどういう考えを持ち、そうした活動に取り組んだかというところから判断をしていきます。ただし、ボランティアや社会貢献は重要なことである一方、最終的な業績や収益を重視するという視点が抜け落ちています。そのため、ボランティアと同じ感覚だけでは企業人として通用しませんので、業績や収益を念頭に置いて考えることができるバランスの良さも兼ね備えているかどうかも見るようにしています。特に中小企業の社長にとって人材の確保というのは大手企業の人事担当者以上に会社の根幹に関わることなので、経営者が面接に関わることが必要だと私は考えています。実際に自分が面接などに関わっていくと、おのずとこのような傾向が見えてくるものです。