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「挑戦する文化」を徹底するには、採用・経営メッセージの伝達・フィールドの提供がポイント 株式会社ワークスアプリケーションズ ビジネス・サポート・インフラグループ ゼネラルマネジャー(小島 豪洋氏)

優秀人材の獲得のために海外拠点を設立

樋口:
入社パスは御社の採用ブランドを作る作戦だったのですか?

小島:
当初から確信をもっていたかどうかはわかりませんが、結果としては大きくプラスになりました。某大手エレクトロニクス企業さんがアイディアを使いたいとわざわざ弊社のCEOのところにいらっしゃったくらいなので。

実際に入社パスは有効に機能したのでしょうか。

5年の入社パスを取得できる人材はごく一握りです。非常に高いレベルを要求しているので。絶対評価のため、毎回入社パスを取得する割合は変動しますが、おおざっぱに言うと参加者全体の3割程度が入社パスを取得しています。その中で、入社パスを新卒の時に行使したいというケースの方が圧倒的に多いですね。ただし、新卒の時にしか入れないような企業に行ってみたいと思う人もいるでしょうし、留学したい人もいるはずなので今は2か月に1回入社日を設定して、卒業後のパス行使者を受け入れています。

同じような方法をまねされる同業者はありましたか?

記憶の中で言うと、ないですね。普通の企業では先々まで見込んでオファーを出すこと自体がリスクのように感じられるので、積極的にはやりたがらない。人事もそういう発想を持ちたがらないし、経営者もできれば単年度でコントロールできた方が経営上安定するでしょう。「過剰に人材を採りすぎてしまう危険性はないか」という声もあったのですが、「業績が悪ければパスを出してもそんな企業には入社したいと思わないはずなので、自然にコントロールされるはずだ」とCEOは明言していました。

お話は変わるのですが、新卒も第二新卒も含めて、問題解決能力は業界問わず求めている企業が多いと思います。
しかし、そういう人材自体が減っていると思いませんか?

数字で表せるものではないですが、減っているように感じます。一方でそういう人材を各企業とも採用したいと思っていますから、激戦ですよね。

私は先日ベトナムに行ってきたのですが、ハノイ工科大学に行くと日本の大手企業の人事部長の名刺がたくさん積んでありました。
やはり日本人だけで採用しようとすると難しく、海外人材に目をむける企業は多いようです。

弊社でも2010年に中国で、2012年にインド、2013年シンガポールで採用を始めました。海外採用は今後も拡大していく予定です。現在、100名以上の人材が海外採用から入社しています。また、海外拠点は2012年に上海とシンガポール、2013年ニューヨークに設置しています。その背景にあるのは人材の採用です。優秀な人材は日本人だけではないので、海外に目を向けたのです。その際、海外の優秀人材に日本に来ていただくのは難しくても、その地に拠点があれば、ワークスアプリケーションズを選んでもらえる可能性は高まるだろうという考えから拠点を設置しました。

今の段階では成果はいかがですか?

成功しています。中国やインドのトップ校から学生が採用できています。処遇もグローバル統一報酬にしているので、現地の一般的な報酬と比較すると高いですし、企業の歴史も浅いので、伝統的な日本企業に比べると、自分で何とかできるというイメージもあるでしょう。そういうイメージが相まって世界でもトップクラスの人材が弊社に入社しています。