経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.056 株式会社ワークスアプリケーションズ(小島 豪洋氏)

「挑戦する文化」を徹底するには、採用・経営メッセージの伝達・フィールドの提供がポイント 株式会社ワークスアプリケーションズ ビジネス・サポート・インフラグループ ゼネラルマネジャー(小島 豪洋氏)

インターンシップを通じて内定の代わりに卒業後も有効な入社を認めるパスを出すことで高い学生認知度を誇る株式会社ワークスアプリケーションズ。ビジネス・サポート・インフラグループ ゼネラルマネジャー 小島豪洋氏に同社の採用に対するこだわりや独特の文化を徹底する秘訣を伺いました。

問題解決能力は面接と筆記試験ではわからない

樋口:
小島さんは今の会社に入社されて何年目ですか?

小島:
最初の入社が2000年12月です。一度退職して6か月半他社に勤め、その後カムバックパス
(※離職して3年以内であれば辞めたときの処遇で戻ることができる制度)を使って戻っているので、通算すると12年くらいです。
私が入社した当時は130名くらいの規模でした。知名度がなかったので、転職する際に周りからは反対されましたね。
当時は1年後にジャスダックの株式公開を予定していた時期で、現CEOの牧野(株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役最高経営責任者 牧野正幸 氏)に「人事の第一号社員でやってみないか」と言われて入社しました。

今御社は何名ぐらいの規模になられたのでしょうか。

今単体で2,280名、連結で2,800名です。当時を思えばずいぶん増えたと思います。

当時を振り返って教えていただきたいのですが、御社がそれほど成長すると思いましたか?

正直に申し上げると思いませんでした。

では周りの反対を押し切って御社で働こうと思った要因はいったい何だったのでしょうか?

一つは牧野が描く話がとても大きかったことです。その話を聞いたとき、おそらく起業家はビジョンや想いや野心が必要なのだろう、と強く思い、直感的にこの人の下でやってみようと思ったのです。
もう一つはグロービスのトップの堀さん(グロービス経営大学院 学長、グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 堀義人 氏)に背中を押されたことです。
当時グロービスがファンドを設立し、ワークスアプリケーションズに投資をしていました。堀さんが「これから絶対に伸びる会社だからこれだけグロービスも投資をしているのに、なぜあなたはそこに気が付かないんだ」と言われたのです。単なるご縁だけではなく、ビジネス上の成功を確信している人もいることに決断を後押しされました。
しいて3つ目を挙げると、前職は大企業でしたので、人事も枠組みが固定化されており、そこにだんだん飽き足らなくなっていたことです。ルールがあまりなく、これから自分で作っていけるような環境を望んでいたところにワークスアプリケーションズの環境がうまくはまったのです。


国内インターンシップの様子


海外インターンシップの様子

これだけ組織が成長する中で、人の質は重要な要素だと思います。
今はインターンシップで有名ですが、これまでの採用方法の歩みを教えていただけますか?

ソフトウェア会社なので、当初は同業界から経験のある人を採用しようしていましたが、当然のことながら当時の知名度ではそう簡単にはいきませんでした。そこで自社にとって必要な、優秀な人材の定義を見直した時に、業界経験や知識、スキルではなく、物事を自分の頭で考えて、解決に導けるポテンシャル、つまり問題解決能力が必要だという考えに行き当たったのです。そこで1999年から『プロフェッショナル養成特待生制度』という第二新卒向けの未経験者採用を開始しました。
問題解決能力は面接と筆記試験ではそう簡単にわからない、実際にやらせてみた上で判断すべきだ、と弊社の経営者は考えています。ですから『プロフェッショナル養成特待生制度』では、6か月間課題を与え続けて一定水準以上でクリアできるかどうかを見極め、合格すれば正式に開発やコンサルに配属するというかなり独特の採用を行っていました。当時はまだ第二新卒という呼び名はなく、力を入れている企業がなかったこともあって、大手企業出身者にも関わらずあえてベンチャーに飛び込もうという気概を持った人材が採用できていました。
弊社の今のコア人材はこの当時入社した人材が中心です。