経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.051 株式会社アスリートクラブ熊本(池谷友良氏)

経営と現場社員の目指すベクトルが合っているかが会社の強さ 株式会社アスリートクラブ熊本(池谷友良氏)

3つの理念を通じてスタッフに共有される「熊本を元気に」という想い

樋口:
現場をマネジメントする上で、社長の片腕として頼りがいがあるのはどのような方なのですか。

池谷:
一つは、理念を共有していることです。チームとして、ロアッソ熊本というチームのフラッグに込められた想いを共有し、「県民に元気を」「子ども達に夢を」「熊本に活力を」という理念のもとに集まっている。このように、いちばん基本的なところがすごく大事です。能力に差があっても、目標に向かって皆でともに歩んでゆくという精神的なつながりはとても大きいです。言い換えれば信頼関係ですよね。

仮に、マーケティングやビジネスのプロフェッショナルながら理念に共感できないという人がいた場合、彼らの活躍の余地はないのでしょうか。

そのようなことはありません。当然、プロフェッショナルは必要だと思います。しかし、入社いただいた後に理念に共感し、理念に基づいて行動してもらうことになると思うのです。

理念を共有するということを、なぜ頼りがいのあるスタッフのポイントとして最初に挙げたのですか。

理念がないと流されてしまうためと、私がその理念に賛同してロアッソ熊本にきたためです。監督として社内で常に要求されるのは、目標を明確にすることです。ロアッソ熊本の根本には、熊本を元気にするためにサッカーを使うという考え方があります。設立当時、熊本の大手企業が倒産したり、新幹線開通の計画がでてきたりしていました。そのような状況の中で、どうやって熊本に人を集めるか、街を活性化するか、という議論の中から、このクラブは始まっているのです。 

その理念というのは、スタッフや選手のみなさんにはどのくらい浸透しているのでしょうか。

かなり浸透していると思います。設立当初は、「3年でJリーグ」という目標に向かって、もともといたスタッフがボランティアの延長のように働いていました。その次に、「5年でJ1」という目標を掲げており、今その5シーズン目にあたる時期です。しかし、なかなか達成できない現実にぶつかりだしています。 このような状況で、これからは組織の中に対しても、外に対しても、違う大義や旗が必要になってきていると思っています。