経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.048 テラモーターズ株式会社(徳重徹氏)

メガベンチャーとして前例を作るのが役割 テラモーターズ株式会社(徳重徹氏)

10年ほど当社で鍛えればすごいアントレプレナーが育つ

徳重:
シリコンバレーでは一流企業からどんどん優秀な人材がスピンアウトしていきますが、日本にはプロのアントレプレナーが極めて少ない。ですから私は当社がプロのアントレプレナー養成機関だと思っています。土曜日にいつも9時から12時まで会議をしているんですが、この場は報告と教育の場です。経験がなければ、勉強はしていても、結局は自分のイメージしかなく、本当にお金がどれだけ大事か、売掛金の回収がどれだけ大事か、人材の採用にしてもビジョンがどれだけ大事かがわかりません。現場でやってみてプロの下で学んで初めてわかることだと思うのです。当社では経験する場もありますし、私もガンガン言いますから、10年ほど当社で鍛えられたらすごいアントレプレナーが育つと私は思っているんですよ。吉田松陰は早くに死んでしまいましたが、松下村塾の生徒たちは皆時代を創りました。そういう風になればいいと思っています。

樋口:
少し大きな話ですが、今の若い人はリスクを取ろうとする人が少なくなっているといいます。若い人がリスクを取るようになるのは、どうしたらよいとお考えですか?

一つ成功事例を作ることだと思っています。私がやろうとしていることはそれに近いことです。当社の事業は市場的にもビジネス産業的にも、革新が起こせる分野です。
現在の日本ではピンが立っている人は、大企業では燃え上がれないので放課後にNPOをやっています。それを企業でやればいいのに、と思いますよね。でも他の地域を参考にしてみると、シリコンバレーでも、台湾でもまず初めにメガベンチャー企業が出ていて、それが国をけん引しているんですよ。ですから国をけん引するようなメガベンチャー企業を私たちが作ることができれば、あとに続く人が出てくるのではないかと思うのです。例えて言うなら、野球の野茂英雄選手のようなものです。彼は当時近鉄の一流プレイヤーでしたが、周りに「失敗する」と言われながらもアメリカの大リーグに行ったわけです。結局、彼が1年目から実績を出したことで、あとに続く人が出てきたわけですよね。

前例を作るということですね。

私は日本人はただやり方がわからないだけだと思っているんです。日本の大企業とサムソンを比べるとサムソンが圧倒的にすごいのは、スピード感とか、朝令暮改、決断力です。ここは、日本の大企業はもう無理だと私は思っています。特に今、大きく世の中が変わっていますから、朝令暮改はむしろ必要です。しかし、それを日本の企業でやると、「計画したのに何を考えているんだ」と大混乱が起こってしまう。ですから日本でサムソンやアップルを越える企業を作るためには、スーパーなベンチャー企業が出てくるしかないかなと思うのです。私たちだったら先に述べたようなことは負けません。ベンチャー企業ですから技術、品質、資金力、人材に課題はありますが、私たちもサムソンを見習って大企業のOBを採用すれば、技術や品質は担保できますし、ビジョンがきちんとしていれば、人も集まります。今一番足りないのは資金力です。これをどうするか。私が考えているのは、アジアの財閥から大きく資金調達することです。フィリピンなどはまさにそうですが、技術やノウハウ、経験はありませんが、財力はあります。今東南アジアでは日本企業だというだけでブランド力が高いので、資金を調達することはできると思うのです。日本の一般的な発想でいうと、ありえないでしょうし、とてもリスキーだと思われるでしょう。もちろんそういう面もありますが、東南アジア側に置くからこそバリューが高まることもあります。実は、ソニーもホンダも京セラも日本電産もみんな国外市場から攻めているんですよ。

アジアのお金を引っ張ってくるというのは、初めて聞きました。

できますよ。私もいい加減なことは言いたくないので、自分が動いていますから。私は四分の三は海外に行って人と会っています。東南アジアと台湾の方は日本のことも日本人にことも好きです。そこにはすごくバリューがあります。ただし、日本人は調査にはよく来るけれども意思決定しないとか、遅いとか、だれがどうなっているのかわからないという話はよく聞きます。私みたいに直接訪れて、英語で直接話してパッパと決めていくと、オーナー同士で強い信頼関係ができるわけですよ。こちらの話し方、経験、ロジックを伝えれば、向こうも理解してくれますから。当社の場合だと、もともと100の価値があるとすると、日本だと40から60ぐらいでしか見てもらえていない。ですが、向こうに言ったら300になるわけです。
気づいていないだけでいろいろなやり方があると思うのです。私のやろうとしていることは普通の日本人では思わないんですよ。ですが、私自身は実際に現場に出る中で、かなりの手応えを感じています。 

勢いのあるお話をありがとうございました。御社の今後が楽しみです!

 

 

CompanyData

Terra Motors 株式会社

■会社名:Terra Motors 株式会社
■代表者:徳重 徹
■所在地:東京都渋谷区宇田川町34番5号サイトービルIII5階
■URL:http://www.terramotors.co.jp/
■事業内容 :
 ・電動バイク、電動シニアカーの開発・設計・販売