経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.048 テラモーターズ株式会社(徳重徹氏)

メガベンチャーとして前例を作るのが役割 テラモーターズ株式会社(徳重徹氏)

入社1年目でも現地に派遣して任せる

徳重:
はじめに入社した2人が実際に権限を与えられて働いて、会社もよくなっている。それでリファレンスができますから、そういうピンの立った人材の紹介が全部当社に来るようになったんです。今では6人ほどここから紹介してもらいました。一方で技術系は現場の経験がないとできないので大手の経験者を採用しています。ガリガリやる若手のビジネス系とプロフェッショナルな技術系人材を合わせて今15名の社員でやっています。

樋口:
初めの2人との出会いも御社に大きく影響しているのでしょうね。

そうですね。加えて私が一つ大事にしているのは、友達みたいなノリでやらないことです。友達同士だと最初はみんな苦しい中でもそれが逆に楽しくて、みんな同じ方向を向いてやります。しかし、みんなが一定の給料をもらえるようになり、ある程度食べられるようになると、経営者は「もっとやりたいから世界に行きたい」と言い、他方で「これ以上ストレッチがかかるのは嫌だ」と言う人が出てくる。ここでずれが生じてしまうのです。こういうことは、結構いろいろなところで起こっているんです。私はいくつも失敗例を見ていますから、いくら優秀な人材でも考え方が合わない人材は採用することはありません。向こうも来ませんしね。
また、そういう優秀な人材は1年や2年ほど企業で勉強してすぐに独立したいと思っている人も多い。でもこちらとしても教えるのはものすごく大変ですから、1年で辞めることを前提に当社に来るのはやめてほしい、と言っています。少なくとも5年10年は頑張ってもらいたいですね。ただし、個人も実力がついて、お金もできて、会社もハッピーな状態になって、そこから起業するのはすごくウェルカムです。
初めの2人以降はかなり入口のところで線引きするようになりました。ですから今では私が一番学歴は低いくらいです。みんなとてもポテンシャルが高いですよ。

優秀な人材を定着させて稼がせ、成長させるのはエネルギーがかかるのではないかと思いますが、実際にはどのようにされているのでしょうか。

基本的には結構任せています。任せたうえで報告・連絡・相談の勘所がずれていたり、意思決定のプロセスがおかしい場合は軌道修正します。特に優秀な人の場合、自分で意思決定したいという気持ちが強い傾向があります。学生の時にNPOなど何かしらの団体のトップをやっており、その時に意思決定を経験していますから自分はできると思っているのです。実際にある程度できることもあるのですが、経営というのは胆力や人間力が必要です。しかし、彼らはまだ若く挫折が少ないので、それが圧倒的に足りません。そういう点ははっきりと指摘しますね。
また、任せるいっぽうで私は常に「結果にこだわれ」と言っています。最近の学生はよく志望動機で「若い人にも任せてくれるから」と言ってきます。しかし、それは結果を出す責任があることと同義だということは意識しておくようにと伝えています。経営者としたら当たり前ですよね。

採用の話も育成の話もすごく興味深いです。そのようなピンの立った人材の中で伸びる人材と伸び悩む人材ってどこが違いますか?

常に進化しようとしているかと謙虚さですね。頭がいい人や優秀な人は自分のやり方やポリシーがあるものですが、ビジネスの面では圧倒的に未熟です。そこを謙虚にとらえて修正していく人はすごく伸びますね。

モチベーションが高く、かつ謙虚な人材は入口の段階で見抜けるものでしょうか。

謙虚さについて言えば、最高レベルを100とした場合、50より上か下かはわかりますが、それ以上は難しいのが実態です。モチベーションの面はモチベーションの源泉を必ず聞くようにしています。たとえば、当社には新興国が好きで、現地で雇用を作りたいとか、排ガスが汚いので環境問題に貢献したいとかNPOのような発想を持っている者もいます。当社では入社1、2年目でもベトナムやフィリピンに派遣しますから、仕事はかなり大変ですが、新興国の雇用促進や環境改善を本当にやりたい人から見れば、モチベーションが上がる環境なのです。ですから当社に来る人材はチャラチャラしていなくて真面目なのが多いです。ちなみに1年目で現地に派遣した人材は学生時代に1年間インターンで徹底的に鍛えていますから、私からしたら大企業の入社4,5年目くらいなんですよ。

みなさん精鋭なんですね。