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ヘンケルジャパン株式会社(ディーナ・ウー 氏)

樋口:
全ての能力を面接で見られているのですか?

ディーナ
採用試験は能力を見るために一般的な面接方法をはじめ、色々なやり方を取り入れています。たとえばある場面をシミュレーションし、ロールプレイをおこなってもらう場合もあります。対応方法を見ながらどういう場面に、どういう形で対応できるのかを見るといった具合です。

入社後に遭遇する場面での行動を予測するということなのですね。

当社の場合、採用時の評価は入社後の評価や人材開発プログラムとも連動しています。面接で評価していることが当社で発揮することが求められている能力であり、入社後の評価基準にもなります。ですから応募者の側に立って見れば、入社後に評価される内容が面接の段階でわかると言えるでしょうね。

日本では「印象」を重視する場合も多く、採用で評価したことが入社後の評価につながらないこともしばしばあります。ロールプレイを採用選考に取り入れるというのは非常に実務的ですね。冒頭で中国では人材の定着が人事部の大きなミッションだというお話がありました。日本では社員の定着のために何か取り組まれているのでしょうか。

優秀な人材を社内に引き留めるためには2つ方法があります。それは待遇とキャリアパスです。待遇面に関しては毎年市場調査をしています。市場金額をベンチマークして、日本市場で競争力を有するだけの待遇を保証するようにしています。またキャリアの面においては、成長できる環境の提供に取り組んでいます。具体的にはジョブローテーションや、自分の職歴や能力を積み重ねていける環境を提供すること、海外赴任の機会や人材開発の提供等が挙げられます。

海外赴任もキャリアパスの一部となっているのですね。

そうですね。採用時には“Are you mobile?”と聞くようにしています。つまり海外に赴任する気があるか、という意味です。当社としてはグローバルな人事展開を望む一方で、実際に海外に赴任するかどうかは本人の希望に沿うべきだとも考えています。全くその気がない人に、「海外赴任を命じます」と伝えて驚かれてしまっても困りますから。
また、採用時から意識を持たせるとともに、グローバルに人事異動をおこなったケースやその後のキャリア事例を社員に示すことも海外赴任を促進するためには重要だと考えています。ヘンケルジャパンからは上海、アメリカ、ドイツ、インドネシア、台湾等さまざまな国への赴任事例がありますが、海外に赴任したのちに新たなキャリアが開けているという環境がなかったら海外赴任に不安を覚えてしまうはずです。やはり社員が「海外赴任して良かった」と思えるものでなくては、行きたいとは思ってもらえませんし、そもそも行く気がない人に強制しても効果は高まりませんから。このような取り組みの成果もあってか、当社では年々日本から海外に赴任する人、海外から日本に赴任する人の割合が増えてきています。

国境を越えた人材の活用を柔軟にされることで人材力がどんどん高まっていくのでしょうね。今日は多国籍企業としての御社の人事の取り組みや、ビジョン浸透の取り組みを伺うことができ大変勉強になりました。ありがとうございました。

CompanyData

ヘンケルジャパン株式会社

■会社名:ヘンケルジャパン株式会社
■代表者:玉置 眞(たまき まこと)
■所在地:東京都品川区東品川2-2-8 スフィアタワー天王洲14F
■URL:http://www.henkel.co.jp
■事業内容 :
 化粧品、医薬部外品、接着剤、シーリング材、表面処理剤並びにこれらに関して
 使用する機械装置及び器具の輸出入、製造、加工及び販売、ほか