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株式会社ECナビ(青柳 智士 氏)

樋口:
差し支えなければカルチャーフィットさせるための選考基準を教えていただけますでしょうか。

青柳
採用基準は当社のCREEDに即しています。


たとえば、何かを依頼されたときに最初から「できません」と答えてしまう人は「出来る出来ないじゃない。やるかやらないかだ。」という項目に合致しませんし、何がやりたいかを聞いた時に「何もありません」と言う人は「夢と志、そして情熱。」の項目に合致しません。CREEDの内容はどれも突飛なことは書いていませんが、これらが全て当社で働く上での前提になっていますので、これに即していない方は当社の文化にはフィットしないのです。また変化の激しさ、そのスピードの早さがインターネット業界の特徴ですから、とにかく変化を喜んで受け入れ、対応していこうという意欲のある人材を求めていますし、面接でもそれを徹底的に見るようにしています。

実際の面接ではどのようなところから判定されているのでしょうか。

意向、過去の行動の両方から判断しています。しかし、新卒採用の場合はビジネスの経験がない学生がほとんどですし、中途採用の場合とは異なり、ポテンシャル採用の色が強くなりますので、価値観にフィットするかどうかを見る質問を投げかけることが多いですね。

それでは社会経験がある方は仕事ぶりで判断されることが多いのでしょうか。

もちろんスキルフィットも厳しく見ていますが、人事として私が見ているのは、主にカルチャーフィットの部分です。これまでの仕事の話を通じて、どのような想いを大切にしているのかを聞いています。また面接では先入観によって考えが偏ることがないよう、スキルフィットもカルチャーフィットも複数名で判定するようにしています。評価はお互い伝えずに数回の面接をおこない、最後につき合わせるのです。このように絞り込みをせずに複数の面接官に会わせることはとても時間がかかりますし、人も投入しなくてはなりません。本当にスキルも価値観もフィットする人材を採用することはとても体力のいることなのです。しかし、スキルだけで採用してしまって入社後に価値観の不一致が発覚することはお互いにとって不幸です。また当社では会社を「船」、社員を「クルー」として「航海」をしていると考えています。ですから採用をするということは、会社としてその人の人生を背負うということですし、仲間であり、チームであり、家族を受け入れるようなものなのです。ですから妥協はできませんので、どんなに疲れていても採用面接は徹底的におこないます。通常の面接という形式だけではなく、当社には社内にバー「AJITO」もありますから、アルコールを入れて話をすることもあります。企業文化については明文化されている部分もありますが、やはり感覚的なところも多分にあると思うのです。ですので上司となるような立場の者だけではなく、同僚となる社員たちが「一緒に働きたい」と思えることも重要です。ですから「AJITO」での選考はチームの何名かを集めて雑談をしながらフィーリングを確かめていくようにしています。

それはいいことですね。独自の方法で様々な取り組みをされていらっしゃるようですが、採用は今目指すところに対して何点ぐらいですか。


社内バー「AJITO」

100点満点とすると10点ぐらいです。今年の4月に入った新人も、現在の内定者ももちろん満足のいく結果ではありますが、まだ出会っていない人が多すぎますから。 当社は大企業と比べると知名度が低いので、まずは認知度を上げ、活動を広げて、優秀な学生との接触頻度を高めていかなくてはなりません。そこで、大手企業が取るような王道の戦略ではなく、例えばTwitterや学生団体の支援のような、ECナビだからこそできる「ゲリラ戦略」をとっています。

御社程特色が強く、能力、志ともに高いメンバーを求めていると、やはり一般的な方法ではなく、優秀な学生に直接リーチすることが必要なのでしょうね。

まさにその通りです。当社では2011年採用で「Twitter採用」をおこないましたが、これは当社の求める優秀な学生にリーチする上でとても有効な手法でした。宇佐美自身がTwitterを通じて学生に呼びかけたのですが、宇佐美の発言をツィートした学生はまず新しいサービスを使うという知的好奇心にあふれている可能性が高く、更に少なからずECナビに興味を持っていることが予想されます。この時点でこれだけのセグメントがされているということは通常の母集団を形成するよりも明らかに効率が良いはずです。何より無料ですしね(笑)。ただし、これと同じ手が来年も使えるかと言うとそんなことはないでしょう。1年前は今年のTwitter に代わるのがSNSの携帯サイトでした。しかし現在、情報感度の高い学生はSNSの携帯サイトは見ていません。新しいコミュニケーションツールの出現に合わせて人事として感度を高め、それに対応した採用戦略を立てなければ当社の採用したい情報感度の高い優秀な学生は採用できないと考えています。

採用方法も自社の特徴と求める人物像から落とし込まれたものなのですね。