経営者人事対談 > インタビュー記事一覧 > Vol.059 日本ヒューレット・パッカード株式会社(有賀 誠 氏)

人事施策に活きる、企業のカルチャー 日本ヒューレット・パッカード株式会社(有賀 誠 氏)

キャリアのオーナーは自分自身

樋口:
 お話を伺えば伺うほど、経営は大きな考え方だけを決め、あとはマネージャに裁量を与えているようですね。どのような人物をマネージャとして選ぶのですか。

有賀:
 現在道半ばでもありますが、一言で言えば、「リーダーシップとチームワークの共存」がヒューレット・パッカードの組織マネジメントのあるべき姿だと思っています。ですので、マネージャやマネージャ候補生に強く求めるのは、「チームを引っ張っていけるようなリーダーシップを持ち、その中で1+1を3に出来るようなシナジーを生むこと」です。俺が俺が、のリーダーシップでも、ただついていくだけのようなフォロワーシップでも意味がありません。「リーダーシップとチームワークの共存」これが当社らしいあり方で、マネージャのみならず全社員にも求められる要素です。

 なるほど、そうなのですね。
 一方で、人事の領域で今後特に注力されたい点についてお伺いしてもよろしいですか。

 「世代交代」と「グローバル化」の2点です。
 まず「世代交代」ですが、社員の年齢構成の問題で今役員をしている世代の層が厚く、中々次の世代にバトンタッチが出来ていなかった面がありました。それを改善したいです。
 次に「グローバル化」に関しては、社員一人一人が、グローバルな戦略の中で価値を発揮できるようになっていく必要があると考えています。英語力は勿論ですし、色々な国の人が色々な価値観を持っていること、考え方が違うこと、プレゼンテーションの立てつけや作り方が違うことなどを理解し、グローバルな戦略の中で自分の価値を発揮して活躍できるような社員になっていくことが求められます。
 そのサポートとして行っているのが、「astronaut(アストロナート)」というプログラムです。海外のオペレーションを社内インターンとして体験します。公募制で、誰でも手を挙げて行かれる仕組みで、年齢や入社年数に制限はありません。ただ、結果としては、将来エバンジェリストやアーキテクト、マネージャになりたい入社5年から15年くらいの社員が多いですね。このプログラムも現場の社員の声から実現したものです。

 キャリアのオーナーは常に本人なのですね。

 そうです。当社においてそれは絶対です。
当社では「キャリアのオーナーは常に自分ですよ」ということは、学生を採用するときから一貫して言い続けていることです。マネジメントはそのサポートをするし、会社はインフラを整えますが、最後それをつかむのは自分自身であるべきだと思います。

 私が在籍していたころと変わりつつあるなという部分もありましたが、通じる部分も多数ありました。私が退職して十数年経ちますが、教わったものや学んだことは今でも私の仕事感に少なからず影響しているように思います。

 本日は貴重なお話をありがとうございました。

 

 

 

CompanyData

日本ヒューレット・パッカード株式会社

■代表者:代表取締役 社長執行役員 吉田 仁志 氏
■所在地:東京都江東区大島2丁目2番1号
■URL:https://www.hpe.com/jp/ja/home.html
■事業内容 :
 コンピューター、コンピューター周辺機器、
 ソフトウェア製品の開発・製造・輸入・販売・リース、ITサービス